2023年12月19日
主 催/MS&ADインシュアランスグループ
共 催/読売新聞社
後 援/公益財団法人日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会、 一般社団法人 大学スポーツ協会、京都市教育委員会
協 力/京都産業大学、京都アップス、京都ボッチャ協会、京都障がい者スポーツ振興会、NPO法人 幼児教育従事者研究開発機構
MS&ADインシュアランス グループ主催による、体験型のスポーツイベント「MS&AD Well-being Sports Project 晴れスポ」。日本各地でランニングやパラスポーツのアスリートらとの交流を通して「健康で幸せな社会づくり」や「共生社会の実現」を目指し、2022年秋から行われている。今年に入って名古屋市、金沢市での開催に続く第3弾が12月9日、京都市北区上賀茂神山の京都産業大学総合体育館で開催された。晩秋の澄み渡った空の下、近隣の住民を中心に親子ら計約110人が参加して、アスリートらと爽快な汗を流した。
「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて安心と安全を提供し、活力のある社会の発展と地球の健やかな未来を支えること」を企業理念として掲げるMS&ADインシュアランス グループは、新たなチャレンジに踏み出す人々を支えてきた。その一環でスポーツ支援にも積極的に取り組んでいる。今回のイベントも、スポーツを通じた「健康で幸せな社会づくり」や「共生社会の実現」を目指して企画された。「スポーツを体験して、心も身体も晴れ晴れしよう」をテーマに、アスリートらの指導によるランニング教室やパラスポーツ体験を通して参加者に体を動かすことの喜びを伝える。こうした体験会に加え、講師を務めるアスリートが自らの競技体験などについて披露するトークショーも、スポーツの魅力を身近に感じられるイベントの目玉となっている。
今回は、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ、そして21年の東京五輪に日本代表として連続出場し、リオでは陸上男子4×100メートルリレーで銀メダルを獲得した飯塚翔太選手(ミズノ)と、トヨタ自動車女子ソフトボール部時代に日本リーグで本塁打王、打点王、ベストナイン、新人賞の4冠に輝いた経験のある元ソフトボール選手の長﨑望未さんがゲストで参加。さらにMS&ADインシュアランス グループ所属のアスリートから、パラ水泳の選手として来年のパリ五輪を目指している前田一成選手(あいおいニッセイ同和損保)がイベントに加わった。
各競技の体験に先立ち、スポーツ番組のキャスターを中心に活躍しているフリーアナウンサーの市川いずみさんによる進行で、参加アスリートによるトークショーが行われた。アスリート人生の中で記憶に残っているエピソードについて尋ねられた飯塚選手は、出場した東京五輪のスムーズな運営を思い出として挙げた。自身の競技についてではなく、大会運営を巡る意表を突いた展開。「選手用の食堂で出される料理が実にバラエティーに富んでいて、本当においしかった。しかもすぐに出てくる」と海外で行われる大会と比較しながら、ユーモアを交えて話すと、会場から笑い声が上がった。長﨑さんも会場の思い出を披露した。様々な海外遠征で、南アフリカに行った時のこと。「日本で生活していると想像できないほど治安が悪く、試合中も遠くの方で銃声がして怖い思いをしたことがある」と話した。
前田選手も海外での競技の思い出を紹介。「訪れる国によって雰囲気が全く異なり、その土地の言語で記された表示などに囲まれる中、たまに日本の文字を見かけると無性にうれしくなった」と振り返った。いずれも、日本の代表として活躍するアスリートならではのエピソードが中心で、競技場面などからはうかがい知れない素顔に、参加者も興味深そうに耳を傾けていた。
トークショーに続いて、スポーツ体験が行われた。飯塚選手はランニング教室を担当。長﨑さんと前田選手はボッチャと車いすバスケットボールを参加者たちといっしょに体験した。京都ボッチャ協会のスタッフがボッチャの講師を、京都拠点に活躍する京都アップスの選手たちが車いすバスケットボールの講師をそれぞれ務めた。また、参加者たちが各競技を安全かつ円滑に楽しめるよう、佛教大学と立命館大学、そして大阪大学の学生たちが全体の運営をサポートした。
ランニング教室は、入念な準備運動から始まった。参加者の動きをさりげなく観察しながら飯塚選手はこの日のプログラムを組み立てていった。飯塚選手は「応援してくれる人と触れ合い、スポーツの魅力を伝えるよい機会になる」と、短いオフシーズンにこうしたランニング教室や講演会に積極的に参加している。実際、速く走るために足首の動かし方など実践的な指導に、参加した子どもより大人の方が熱心に質問する光景も見られた。足裏を床について素早く引き上げるメカニズムをわかりやすく説明すると、参加者たちはダッシュを繰り返しながら確認していた。もっとも、子どもたちが歓声を上げながらメニューを次々とこなしていくのに対し、久しぶりに身体を動かした大人たちは脚がもつれて転びそうになり、子どもに支えられる場面も。
車いすバスケットボールは、京都アップスでキャプテンを務める東武志さんを中心に体験会をサポート。同チームで選手として活躍する小学5年生の男子と中学2年生の女子もサポートに加わった。実際に競技用の車いすに乗ってシュートを決める練習では使う筋力が通常のバスケットボールとは異なるため、参加者たちはその難しさを実感。力の伝え方などについてスタッフから説明を受け、何度か挑戦してシュートを決めると周囲から大きな歓声が起きた。また、子供用に低いゴールにランニングシュートなどを決める練習も行った。
続いてボッチャ。2チームに分かれ、目標となる白い球に自分の球を投げたり転がしたりして、いかに近づけるかを競う。運営スタッフからルールの簡単な説明を受け、参加者がチームに分かれて試合形式で体験した。年齢差などに関係なく誰でも参加でき、微妙な駆け引きもあり、球を投げるごとに歓声とため息の交じった声が会場に響いた。競技の奥深さを実際に体験して、夢中になる参加者も目立った。
参加者は4班に分かれて、これらの競技を順番に体験していった。小学6年生の息子(11)と、京都市内から参加した竹村俊弘さん(49)はランニング教室で脚の動かし方などについて、講師の飯塚選手に積極的に質問を行っていた。「妻がチラシでこのイベントをみつけて応募した。トップアスリートに身近に接することができる貴重な機会となった。元々、身体を動かすのは好きな方だが、子どもと一緒に身体を動かすことが少なかったので、親子のコミュニケーションを図るいいきっかけにもなった」と竹村さんは話していた。
最後に、サッカー日本代表のレプリカユニフォームが当たるじゃんけん大会が行われ、参加者全員とアスリートが一緒に記念撮影。講師を務めた飯塚選手と前田選手はそれぞれ来年、パリで開かれる五輪とパラリンピックを目指すことを伝えると会場からは激励の拍手が起きた。また、長﨑さんも「今回のようなイベントを通して様々なスポーツの魅力を伝えていきたい」と自身の活動について話してくれた。イベントの行われた京都は澄んだ秋晴れに恵まれ、まさに「晴れスポ」日和となった。京都市郊外の自然豊かなキャンパスで、参加者たちは思い思いに汗を流すことで気持ちが通じ合い、スポーツの魅力を体感できるよい機会となったようだ。