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スポーツ庁委託事業「平成 30 年度パラリンピック教育普及啓発事業」

パラスポーツ・アスリートをもっと知ろう! in 佐賀

2019年02月12日

#パラスポーツ

パラリンピックの選手と触れ合いながら、パラスポーツを体験してもらう「パラスポーツ・アスリートをもっと知ろう! in 佐賀」が2月3日、佐賀市諸富町の佐賀市立諸富文化体育館で行われ、地元の親子を中心に約80人が参加した。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、全国7か所で開かれるイベントの第3弾だ。2020年東京パラリンピックで正式採用されたパラバドミントンから、夫婦でメダルを目指す小林幸平選手と小林悦子選手、また、車いすテニスから大谷桃子選手と、日本のパラスポーツを代表する3人のトップアスリートたちが登場した。

主催=読売新聞社
後援=公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会
協力=公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、NPO法人幼児教育従事者研究開発機構

小林幸平選手は1979年生まれ。2015年からバドミントンをはじめ、18年は「ブラジルパラバドミントンインターナショナル2018」男子ダブルスで優勝、18年の日本選手権では男子シングルス優勝、男子ダブルスでは準優勝を果たした。妻の悦子選手は1968年生まれで地元・佐賀県出身。「ブラジルパラバドミントンインターナショナル2018」女子ダブルス準優勝、18年の日本選手権では女子シングルス3位。2020年東京で夫婦そろってメダル獲得という夢を目指す。大谷桃子選手は1995年生まれ。佐賀県の西九州大学に通う。18年はインドネシアで開催された「アジアパラ競技大会」女子シングルスで銅メダルを獲得し、全日本選抜車いすテニスマスターズ女子シングルスで優勝したトップ選手だ。

小林幸平選手

小林悦子選手

大谷桃子選手

「運動不足解消で始め、はまりました」…パラバドミントン・小林悦子

元木寛人アナウンサー

まず、福岡放送の元木寛人アナウンサーの司会で、トークショーが行われた。元々、車いすバスケットボールの選手だったという悦子選手は、バドミントンを始めたきっかけについて、「年齢的にバスケがきつくなって休んでいた時に、運動不足解消のためにやって、はまりました」。

「嫁の練習相手として始めるも、一から教えてもらい」…夫・幸平

対して、夫の幸平選手は「嫁の練習相手として気軽に始めたら、難しくて、練習相手どころかいちから教えてもらうことになりました」と話す。「夫婦でやっていると生活のリズムも合わせやすいし、練習で遅くなっても理解してもらえる」と幸平選手が語ると、大谷選手は「うらやましいです」。

「車いすテニスの大会見て、もう一度やってみよう」…大谷桃子

3歳上の兄の影響でテニスを始めた大谷選手は、全国高校総体の個人戦にも出場したが、高校卒業後、突然、病で両脚が動かなくなり、利き腕の右手の握力も弱まっていった。「車いすテニスの大会を見に行って、自分だったらこうやって戦うのに、と考えていることに気づいた。もう一度、やってみようと思いました」。いよいよ東京大会が来年となり、大谷選手は「路上で声をかけられるようになった。街の人の見る目が違ってきた」と話した。また、バドミントンが初めて正式競技になることについて、悦子選手は「バスケットをやめたときにパラリンピックはあきらめていたので、また目指せるのか、とがぜん、やる気がわいてきました」と語った。

車いすテニス用の車いすの説明

「障がい者と一緒に楽しめる機会増やしたい」…山口祥義知事

山口祥義・佐賀県知事

トークショーには中盤から、山口祥義・佐賀県知事が参加。スポーツの裾野を広げるための新たなモデル「SAGAスポーツピラミッド構想」を語り、3選手に協力を求めるとともに、「佐賀の力でスポーツを盛り上げ、世界水準に持っていきたい」と力を込めた。

また、競技用車いすの実物が紹介され、3人による解説も行われた。競技用車いすのタイヤはハの字形に角度が付いていて、角度が大きいほどクルクルと回りやすい。前後の動きが主となるバドミントンは角度が小さく、回転を使うテニスは大きい。また、体を後ろに反らせて打つことも多いバドミントンでは、転倒防止のため後ろに二つのキャスターが付いている。「テニスの場合、キャスターはほとんど一つです。ずっとターンをしていなければならないので。二つだとどんな感じなのかな」と大谷選手。3人の説明に子供たちは目を輝かせ、「タイヤ交換はするんですか」「タイヤの色は好みで決めるんですか」などと質問が飛んだ。

パラバドミントン用の車いす
アスリートに質問をする参加者
手話通訳

続いて、パラスポーツの体験会が行われた。小林夫妻がパラバドミントンの実演をしながら、日本障がい者バドミントン連盟の平野一美理事長が競技の面白さと難しさを説明。その後、3面のコートで、幸平選手、悦子選手それぞれが子供たちやその親たちと打ち合いながら、競技の面白さを体験してもらった。参加者に車いすに乗って打ってもらう体験も行われた。大谷選手は車いすに乗った山口知事とバドミントンで対決した。

車いすバドミントンに挑戦する大谷選手
車いすバドミントンを体験する山口知事

パラバドミントンの説明をする日本障がい者バドミントン連盟の平野理事長

小学3年の鶴貝柚月さんは「車いすを動かすのがすごく上手で、見ていて面白かった」と話す。車いすに乗ってパラバドミントンを体験した小学6年の井手小雪さんは、「外から見るだけだとよくわからなかったけど、実際にやってみると車いすの操作がとても難しい。初めて見たけれど、興味を持ちました」と語った。また、小学3年の娘と参加した波多あゆみさんは、「健常者と同じスピードと動きで、車いすに乗っていると思えないくらい。車いすの構造なども興味深かった」。大谷選手と対戦した山口知事は「楽しかった。健常者が障がい者と一緒にスポーツを楽しめる機会を増やしていきたい」と話した。

車いすバドミントンの体験
小林幸平選手から指導を受ける

「ゲームとしてすごく面白かった」…ボッチャ体験者

会場では、赤や青のボールを投げて、目標となる白いボールにどれだけ近づけるかを競う「ボッチャ」のミニゲームも行われた。小学3年の寺町知紗(かずさ)くんは、3回やって1勝2敗。「最初はうまくできなかったけど、2回目からはうまくいった。ゲームとしてすごく面白かった。またやってみたい」と話した。

ボッチャの体験
ランプを使用してボッチャをプレー

最後は小林夫妻とのバドミントンのゲーム。参加者らが夫妻にダブルスで挑んだ。2ポイント先取のルールで、元木アナウンサーが実況し、白熱の試合が展開された。子供たちのチーム、親子のチーム、兄弟姉妹チーム、大人チーム……。
 車いすの子供も参加した。次々と入れ替わる相手を、小林夫妻は夫婦ならではの息の合ったチームワークで撃破。17試合中、2試合で敗れたものの、ほぼ完勝だった。最後は5ポイント先取のルールで、大谷選手が友人とペアを組んで挑戦。車いすテニスで鍛えた動きで小林夫妻を驚かせたが、夫妻の壁は厚く惜敗。「バドミントンをやっていたのかと思うくらい動けていて、さすがだと思いました」と話す悦子選手に、大谷選手は「今度は車いすテニスでやりましょう」と応じた。

「メダル獲得に向けて頑張りたい」(大谷選手)、「夫婦で出場して、夫婦でメダルを獲得するよう、頑張っていきたい」(悦子選手)、「この1年は大事な年。しっかりと勝ち切っていきたい」(幸平選手)。2020年に向けて、3選手の力強い決意でイベントは終了した。

 
終了後に記念撮影

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